白井 晃
(演出家・俳優) |
綺羅の新譜『帰去来』には、彼らの信じてきた歌の力が熟成された感がある。日本語を大切にし、その語感から生まれるメロディーの可能性を追い求めてきた広谷・木戸両氏の思いが、ひとつの答えを見いだしたかのようだ。彼らの歌は、静かに、やさしく、時として力強く我々の心の痛みを癒してくれる。時間は時として残酷であり、時として豊穣をもたらす。私は、今『帰去来』に綺羅が長い道のりの中で到達した、涼やかな円熟を感じる。 |
本多豊國
(墨絵画家) |
「無音の旋律」いつか見た白い夢のようななつかしさ。嵐の後の月の光。流れていく雲。吹きぬける草の風。くっきりと立ちあがる静寂。そのやさしさ。ぼくたちみんなの母の歌。綺羅の歌声が聞こえる。この歌はどこから来て、そして、どこへ行くのだろう。 |
荻野清子
(作編曲家、ピアニスト) |
いつも綺羅の音楽を聴かせて頂いて思うことですが、忘れかけていた古き良き日本を想う、ほんとに心穏やかになる音楽です。ヴォーカルと楽器の音色の溶け具合もとても自然で特に今回はお箏が絶妙なアクセントになっていてさらに世界観を広げている気がします。
たくさんの美しい風景が浮かびます。夏に向かって行く感じが凄くするのに、梅雨のじめじめした感じがなくて、とても爽やか。日本語って、日本の景色って美しいなと再認識させられるようなアルバムです。 |
市川笑也
(歌舞伎俳優) |
このCDに収められている曲を聴いて、古き良き時代の日本を思い起こさせる、どこか懐かしい感じを受けました。夏に縁側でスイカをほおばったり、秋には道ばたで落ち葉たきをしたり…、そんな、いつの間にか遠くなってしまった風景を、とても懐かしく思い出しました。綺羅さんのやわらかく透明感のある歌声と、いにしえの言葉を紡いだ歌詞が、心に染み入ってきます。歌舞伎俳優が舞台で話すセリフにも、古い言葉がたくさんあります。綺羅さんも私も、同じ日本の文化や言霊、人の心を伝える仕事に携わっていますのでこの度は喜んで推薦文をお引き受けいたしました。皆様の心にも懐かしさをお届けしたくて…、ぜひ、お聴きください。 |
小林隆
(俳優) |
「海」に連なる言葉が好きだ。「波」「砂」「舟」「潮騒」「川」……。そこには「空」が広がり「月」が灯り「星」が瞬く。四季折々に気配を変えながら。
はじめて聴くのになつかしい。―馴染んだ世界を赤子のように 清らな瞳で見てみたい―意志、決意があるからなのかな。美しい言葉で聴く者に寄り添う曲と歌声が僕の肌に心に馴染む。あの大震災を目の当たりににした僕たち日本人はしばらく失語症のような状態になっていました。未だにそうかも知れません。でも綺羅は立ち上がりました。『帰りなんいざ〜被災地への思いをこめて〜』という作品。曲が始まりだいぶ経ってからやっと登場する言葉、ギリギリに削ぎ落とされた言葉に、その表現に、綺羅というアーティストの矜持・良心を見る思いがします。綺羅『帰去来』、お気に入りがひとつ増えました。 |